岩国の市街地から錦川をさかのぼり、山あいの美和町へ。そこに「ふるさと市場」という小さな産直市場があります。
遠くは広島市内からも買い物に来られます。
棚に並ぶのは、地元・美和町の農産物だけではありません。錦町広瀬のわさび。由宇町のいちごやトマト。周防大島のみかんにスイカ、シャインマスカットなどのぶどう、がんね栗(美和特産)、岩国特産のレンコン、玉ねぎ。岩国とその周辺の「おいしいもの」が、ここに集まってきます。
しかも、市価よりずいぶん安い。農家の方が自分で持ち込み、販売する市場だから、新鮮さも折り紙付きです。
採算の合わない市場
この市場を運営しているのは、隣でガソリンスタンドと農機具の販売・修理を営む奥田商事株式会社です。
市場の収入は、販売にかかるわずかな手数料だけ。近所の方をパートで雇って運営していますから、それだけでは採算が合いません。
では、なぜ続けるのか。
奥田会長は、こう言われます。農機具の販売などで、農家の方には日ごろからお世話になっている。市場はその恩返しだから、採算は度外視している——。
私はこの言葉に、大いに共鳴し、感動しました。
利益は、どこへ還るのか
企業の目的は、ステークホルダーへの利益の還元だと言われます。注目されるのは、株主への配当であり、従業員への給与です。
でも、忘れられがちなもうひとつの還元先があります。地元であり、社会です。
わさびを、いちごを、みかんを持ち込む農家の方々。安くて新鮮な野菜を買いに来るご近所さん。パートで働く地域の人たち。ふるさと市場は儲からないまま、その全員に少しずつ利益を還しています。
それを黙って続けている人に、私は頭を下げる思いです。
あなたの仕事の利益は、どこへ還っていますか。
私も、そうありたいと常々思っています。STUDIO S.Oの事業で少しでも利益が得られるようになったら、地元への貢献を一番に考える。ふるさと市場の帰り道、野菜の袋を提げながら、あらためてそう心に決めました。